建築模型


基本設計の作図のなかで、立面図を描くのがいちばん好きです。

平面計画と同時進行で想定している、全体の高さやボリュームや屋根の形状を含めたプロポーションなどがはじめて具体的なかたちをあらわす瞬間で、そこまでの検討が適切だったのか、決定的なほどによく見えます。

平面計画にも言えることなのですが、門や塀、駐車場などの外構計画もこの時点である程度具体的に決めておくと、動線や予算組みなど後々の計画全体がスムーズに進行してゆくようです。

とはいえこれもまだ「紙の上」の話、質感も奥行きありません。
この次は配置図・平面図・立面図をもとに建築模型を作製して、さらなる検討に進みます。

外壁や軒裏にどのように光が当たり影ができるのか、物置や塀、扉で囲まれたそれぞれは「空間」になり得るのか、植栽の配置は適切か、建物内部へ自然光はきちんと届いているか、通風は取れるかなど、東西南北の各方向からはもちろん、下から見上げたり屋根や床を外して内部を確認したりも可能です。

窓から覗いて室内のようすを伺うのはさながら、小人の国に迷い込んだガリバーにでもなった気分です。

リアルな質感から得られる「見た感じ」のフィーリングというのは文字通りに一目瞭然で、ダイレクトに伝わってきます。

一見効率が悪いようにも思われがちなのですが、これは私が知る限り、ある種のチェックポイントを通過するためのもっとも確実で早い検討方法のひとつです。

このプランでは1階水まわりへの採光の量がすこし気がかりだったのですが、どうやらこのままで大丈夫なようです。

間口10.9メートル奥行き6.7メートルのこの住宅は、ふたつの寝室とセカンドリビングを2階に設えて、それが吹き抜けを介して1階へとつながります。

サービスヤードを含めて約43坪のプランは、4人家族想定の老後も無理なくつかえる計画を、と思い立って書き下ろした計画案です。

次回はこの計画案の実施設計図書と積算・見積について書いてみます。
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