分離発注って何だろう?その3

ここまでをみると分離発注、いいことだらけです。けれどよく言われるじゃないですか、上手い話には裏があると。今回は、分離発注に潜在する(かもしれない)デメリットについて検証します。

まずは、

住宅一般における「業界内でよく目や耳にする、建築主さんが困っていらっしゃること」を時系列でとりあげて、それが分離発注特有のものなのかを検証する、といった二段構えでのぞみます。

ではまず「困ったこと」から。

①基本設計

・計画がまとまらない
・要望の聞き取り拾い出しに問題がある
・論点整理ができない
・気に入ったデザインではない
・要望が反映されていない
・提案に共感できない
・質問に対してクリアーな回答や提案をだしてもらえない
(特に構造とコストの裏付けに基づいた回答と提案)

②実施設計
・実施図ができあがらない
・建築として成り立たない(基本設計時の見込みが甘い)
・そもそも実施図がない(!)
・実施図の内容が薄い
・要望があるのに詳細な聞き取りをおこなってくれない
・質問に対してクリアーな回答や提案をだしてもらえない
(特に水まわりの収納関係について、初期設定が甘い)

③積算・見積
・予算内にまとまらない
・予定の時期に着工できない
・修正案に共感できない

④着工、⑤竣工・引渡し
・調査不足により法令の制限にふれて着工できない
・打ち合わせと現場での内容が違う
・変更・修正の打ち合わせをしても現場に反映されない
・希望日に引き渡してもらえない

けっこうたくさんありますね。

けれどこれらはそのスキルに起因するものばかりで、分離発注特有のデメリットとはちょっと言いにくいです。強いてあげれば前回のブログまでさかのぼって、「合計30回程にのぼる、各工事金額の支払い(銀行振り込み)をクライアントさんにやっていただくこと」がデメリットに該当しそうですが、それ以外は存在しないのか?

確証はないのですが何かが抜け落ちているような気がします。全体を見てメリットとの釣り合いがこれではどう考えても取れない。不自然です。どこかに隠れた何かを見落としているのではないか?あるいは考え方が硬直して、目の前を歪めてみているのか?うーん。

しかし、ということは、これまでの考え方をもう少し外に拡げなければ答えが導けないということでもあるわけで、新しい発見の予感に、妙にワクワクしてる自分もいます。でもそれは何だろう?

ちょっと頭をひやして次回、さらに掘り下げてみます。

追記:
工事金額の銀行振り込みや詳細な設計打ち合わせなどを振り返って「レトルトと比較した場合のキャンプのカレー作りの手間みたいなもので、手をかけたぶんだけ楽しかった」とOB施主様よりコメントをいただきましたので記します。

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