「知ろうとすること。」(新潮文庫)

「2011年のあるとき、ぼくはこんなツイートをしました。

〈ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、
「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。
「より脅かしてないほう」を選びます。
「より正義を語らないほう」を選びます。
「より失礼でないほう」を選びます。
そして「よりユーモアのあるほう」を選びます。〉

上の言葉は、聞き手であり共著者の糸井重里さんによる、あとがきの一部です。

福島第一原発の事故によって飛散した放射性物質の影響などに関して、「少なくともここまでは確かに言えるという、最低限の科学的な知識」がまとめられているこの本は、物理学者である著者の早野龍五さんと糸井さんの対談により話が進んでゆきます。

科学的であるということの(やや乱暴に言えば)構造的な不確定さと煩雑さに真摯に向き合い手順を踏んでゆく姿勢が、見栄えはしなくとも、結局は、「次の一歩」へとつながる力を得るのだということを、お二人から諭されたような読後感でした。

カテゴリーlime