「大きな暮らしができる小さな家」 (オーエス出版社)

建築家、永田昌民(まさひと)さんへのインタビューと事例解説がまとめられた本です(聞き手である住宅ジャーナリストの杉本薫さんとの共著)。いま手元にあるのは、2003年発行の二刷です。

言わずと知れた住宅設計の第一人者で、私などがとやかく言うことなど、おこがましいのを承知で書けば、本書にもあるような「涼しさ、香り、新鮮な空気、季節を運ぶ風と、明暗の演出、あたたかさ、季節をもたらす光を取り込む」家を数多く残されて(幸運にも、そのうちの数件を拝見する機会に恵まれたのですが、本当に貴重な経験でした)、家づくりを生業とする身にとっては、北極星のような存在の方です。

先日、ひさしぶりに読み返したのですが、「大きな暮らしができる」 とは、もちろんその家の床面積の違いに依るものではなく(ゆえに小さいからよい、というわけでもなく)、その暮らしのなかの「一日の変化、四季の変化、経年の変化」を踏まえた居心地のよさが、その家に備わっているかどうかなのですよワタナベ君、と諭された(というか説教された)かのような読後感で、引き続き精進いたしますと、空に向かって最敬礼するばかりでした・・・

カテゴリーlime