既存解体工事 (柳瀬の海の家)

以前のブログで模型をご紹介した「柳瀬(やなぜ)の海の家」は、今週から既存建物の解体工事が始まっています。柱、梁を可能な限り新築部分に転用する本計画は、解体工事の工程が、

1:まず、床や外壁、屋根などの仕上・下地材を撤去して、「構造体だけ」の状態にする
2:露出された構造体を、樹種、断面、劣化などの状態をみながら選定し、解体する
3:最後に、残った基礎と外構を撤去し、整地をおこなう

の、3段階に分かれていて、現在は1工程目の、室内の仕上・下地材の撤去をおこなっています。

座敷の天井が剥がされ、小屋組みが現れました。

およそ80年ぶりに人目に触れることとなった構造材は、現在の標準より「ひとまわり半」ほど大きな断面で、写真右側下部に写っている、縁側屋根を支える円柱状の大断面梁、いわゆる円桁(えんげた)もそうなのですが、みるからに豪快な印象です。

ピンボケで申し訳ありません。製材された梁には、上の写真のように長さや樹種、等級などが書き込まれていて、さらに目を凝らすと、製材所の屋号も記されていました。

クライアント様から伺った話では、構造材などの一式は、敷地北側に開ける日本海から、船によって運ばれてきたのだそうです。先程の小屋梁もおそらく、港で人の手によって陸揚げされた後に、これまた人力によって積み上げ、組み立てられたのでしょう。

およそ1世紀前、先人の知恵と工夫によって棟上げされた木材たちに、あらたな役割を担ってもらえるよう、これからクライアント様、棟梁、設計者が知恵を絞ります。「さあ、君たちに何ができるのかな?」と、露わになった、古の材たちからの問いを感じながら、引き続き工事の進捗を見守ってゆきます。

年内のブログ更新はこれで終了します。本年もたいへんお世話になりました。皆様どうぞよいお年をお迎えください。

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