広い縁側の家

前々回に続き、計画案の模型を紹介します。

切妻屋根を持つ、平屋のこの建物は、元々は40年ほど前に分譲された、供給公社の規格住宅でした。今回の計画では、そこに耐震改修をおこない、併せて玄関と自転車置場、濡れ縁を増築します。写真正面に見える、屋根付きの濡れ縁部分は、内部と外部を繋ぐ「緩衝地帯」であるとともに、将来的な車椅子利用などを想定した、バリアフリーのアプローチを兼ねています。

実際に取り組んでみて分かったのですが、今回のようなシンプルな平面の平屋建てであれば、たとえ築年数が古く、経年劣化が見受けられたとしても、構造強度を「現在の建築基準法に相当するレベル」に引き上げることは、当初思っていたよりもかなりスムーズで、法令や各種基準について、かなり整えられてきているなあ、というのが率直な印象でした。

とはいえ実施にあたっては、構造体へ蟻害が進行していないことの確認と、以降の確実な防蟻処理、の二つをクリアせねばなりません

が、これも今回取り組んでみて分かったことなのですが、防蟻処理については、薬剤の進歩と経年変化に対するメンテナンスの確立がなされていて、加えて今回、床下などの現況調査について、フットワークの良い、信頼のおける業者さんとのご縁にも恵まれ(ありがとうございました)、当初思っていたよりも、はるかにスムーズな進行でした。

本計画は、構造部分については「出雲市木造住宅耐震化促進事業」の助成対象案件であり、計画全体については、「長期優良化住宅リフォーム推進事業」に併せた設計です。

そして、建築費からみると、同仕様同規模の新築住宅に比べて、コスト面で相応のメリットを伴う結果にもなっています。

このことは今後、平屋での暮らしをお考えの方々に対して、新たな選択肢をお示しできるのではないか、といった手応えとともに、引き続き以降の業務に励みます(現場進捗などについては折を見て、当ブログにてご紹介します)。

「模型のサイズは、梱包用の箱に入る大きさまで」という制限のため、今回も敷地全体を作成することができませんでした。

実際の敷地部分は、上の写真から見て、敷地左手の端に4メートルを加えた範囲まであるのですが、ここには竣工後、植物(染色体)がご専門である、クライアント様による植栽が配される予定で、どのような庭をお作りになるのか、完成がいまから楽しみです^^

島根県出雲市での計画です。

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