建築模型(東津田の家)

「家づくりの流れ」 でも触れていますが、弊社は原則、基本計画案がまとまった段階で模型を作り、クライアント様にご覧いただいています。

模型 (縮尺50分の1) を使って、

・室内と外観のボリュームや質感
室内への自然光の入る様子や視界の「抜け具合」
・外部からの建物の見えかた

などについてご確認いただくのですが、今回は、先日お渡しした模型をご紹介します。

敷地は、前面道路から約40センチ上がった位置にあります。この40センチの高低差に「敷地から1階の床面まで」の高さを加えると、前面道路から1階床面までの高低差は、約1メートルになります。

この高低差に対して、

・無理のない段差、幅員、長さのアプローチを設け、
・自動車2台+α+自転車・バイク、の駐車・駐輪スペースを確保した

平面・空間構成とするにはどうすればよいか?これが、クライアント様との打ち合わせを繰り返す中で見えてきた、課題のひとつでした。

この課題に対して、

まず、「メインの構造体」を敷地地盤面に計画して建物本体とし、そこに沿わせるように、道路面を基準とした平屋の玄関(上の写真の左手裏側に、玄関戸があります)と駐輪場を組み合わせました。

前面道路から1階床面までの高低差は、玄関ホール内に階段を設け、段差部分の床面積を最小限に留めて、必要な駐車・駐輪スペースを確保しています。

バリアフリーへの対策としては、作業用動線である建物北側に作業運搬用のスロープを設け、主要動線については、リビングの南側外部に屋根付きのウッドデッキをしつらえて、リビング、デッキから庭を経由して駐車場に至るまでのルートとし、その間を緩勾配のスロープが確保できるだけの広さ(=長さ)としています。

屋根付きのウッドデッキは、バリアフリーの通路としてだけでなく、ウチとソトとを繋ぐ緩衝地帯として、建物と敷地の「仲を取り持って」もらうような意図も持たせています。

上の写真は建物西側(そして1枚目の写真は、建物の東側)です。

冬の朝と夕方、敷地の上空ほぼ真上を東西に往って戻る、ハクチョウの姿を楽しむことができるようにと、基本設計時、バードウォッチングがご趣味の、クライアント様ご夫婦のご要望に沿いながら、東、西側それぞれの窓配置を進めてゆきました。

そうして決まっていったそれぞれの窓の位置や、採光、視界の抜けなどのご確認にはやはり、模型が一番だなあと、今回の基本設計の最終打ち合わせの際にもあらためて実感したのですが、引き続き現在も、進行中の実施設計の力強い味方となってくれています。

島根県松江市の計画です。