鎖樋(くさり‐とい)

年夏に竣工・お引き渡しとなった「東津田の家」に先日、鎖樋(くさり-とい)を設置しました。上の写真左側の、軒先と地盤面を繋ぐ、一本の薄い縦線が「それ」です。

鎖樋の上部には、長さ1mの軒樋(のき-どい)を設けています。これは木製スクリーン(写真左手の横格子)に屋根(軒先)からの雨だれが当たらないように設けたもので、この建物に唯一存在する雨樋です。

鎖樋の鎖は鉄製で、直交する2つのリングを上下に繋ぎ合わせた構成となっています。一般的には、「軒樋から地盤面」を繋ぐ垂直方向の雨水経路には、「軒樋と同素材で筒状」の縦樋(たて-どい)を用いることが多いのですが、今回は外観によりよく馴染む、鎖樋を選択しました。

雨樋を設けない計画が多い弊社ですが、これまでは、スクリーンと軒先がこのような(雨だれが当たる)位置関係となるときには、「雨の影響のない場所へのスクリーン配置とそれに併せた動線計画」を定石としていました。が、今回は、駐車スペースの奥行寸法を優先することとなり定石が使えず、竣工後、スクリーンに当たる雨だれの影響をしばらく観察したのちに「プランB」を検討した結果、「部分軒樋と鎖樋の合わせ技」を選択しました。

取付が無事完了し、機能面の目的である、スクリーンへの雨だれ回避とともに、意匠面の目的である、外観への影響を最小限におさえることも達成できたようで、ホッとしています。

足元の納まりです。

鎖樋を伝った雨水は、化粧砕石を経由して地盤面下へ浸透します。