「持ち出し式」ロールスクリーン

上の写真は、高窓(正面に見える横長の窓)への、ロールスクリーン取り付け作業が完了した様子です。

竣工から数年経った先日、「夏場の午前中に差し込む陽射し<だけ>を遮る、何かよい方法はないだろうか?」とのクライアント様からのご要望にまず頭に浮かんだのは、必要に応じて開閉できて建物の内外観を大きく損ねない、ロールスクリーンの設置でした。が、続いてディテールについて考えを巡らせたところで、「ひと工夫」を加えなければならないこともみえてきました。

この高窓の高さは1階床から約3mです。直下の足元には、奥行き60センチの ローボードが造り付けられているのですが、仮に、そこに ロールスクリーンの標準的な仕様である「チェーン式」を取り付けると、開閉操作はローボードの前の1階床に立った状態で、つまり「窓から約2m下(床から約1m上)の、壁(窓)から60センチ離れた」位置でおこなうことになります。

付属するチェーンを引くことで軸部が回転してスクリーンを巻き取る、チェーン式のロールスクリーンは、ちょうど手動ホイストのように、ほぼ真下からの操作を想定したつくりになっています。逆に言えば今回のように、 ローボードの奥行き分だけ「真下ではなくなる」位置では、チェーンが本体に干渉して軸部がスムーズに回転しないなど、開閉に支障をきたす恐れがあるのですが、リスク回避のためにリモコン操作の電動式としても、今度はメンテナンス時の作業性の悪さや、電源部分と駆動部が内外観を損ねるなど、却ってデメリットを増やしてしまうことになります。

そうしたなかで新築時に内装工事を担当したY社Iさんに相談したところ、ちょうどこのような操作位置に対応した仕様のロールスクリーンがありますよと提案してもらったのが、今回採用した「チェーン持ち出し式」のロールスクリーンです(Iさんありがとう)。

上の写真のように、チェーン(写真中央やや右側)を引いて開閉操作をおこなうのは、一般的なチェーン式のロールスクリーンと変わらないのですが、この「持ち出し式」では、

スクリーンの真下ではない、後退した位置からチェーンを引くと、上の写真のように、軸部の先に取り付けられた滑車が「持ち出され」ながら回転して本体軸部に力を伝え、スクリーンを開閉します。実際に操作してみると滑車の効果なのか、硬さや重さなどを感じることなく、スムーズに開閉することができました。ちなみにこの「持ち出し式」の代表的な使用例は、コンビニエンスストア正面のガラス窓用(主に西日などの日除け用で、操作は本棚の奥行き分だけ後退した位置になる)なのだそうです。

同様の位置関係でロールスクリーンを検討中の方は、もしよければ参考になさってください。

※探したら、操作時の動画もみつかりました。