鎖樋(くさり‐とい)

年夏に竣工・お引き渡しとなった「東津田の家」に先日、鎖樋(くさり-とい)を設置しました。上の写真左側の、軒先と地盤面を繋ぐ、一本の薄い縦線が「それ」です。

鎖樋の上部には、長さ1mの軒樋(のき-どい)を設けています。これは木製スクリーン(写真左手の横格子)に屋根(軒先)からの雨だれが当たらないように設けたもので、この建物に唯一存在する雨樋です。

鎖樋の鎖は鉄製で、直交する2つのリングを上下に繋ぎ合わせた構成となっています。一般的には、「軒樋から地盤面」を繋ぐ垂直方向の雨水経路には、「軒樋と同素材で筒状」の縦樋(たて-どい)を用いることが多いのですが、今回は外観によりよく馴染む、鎖樋を選択しました。

雨樋を設けない計画が多い弊社ですが、これまでは、スクリーンと軒先がこのような(雨だれが当たる)位置関係となるときには、「雨の影響のない場所へのスクリーン配置とそれに併せた動線計画」を定石としていました。が、今回は、駐車スペースの奥行寸法を優先することとなり定石が使えず、竣工後、スクリーンに当たる雨だれの影響をしばらく観察したのちに「プランB」を検討した結果、「部分軒樋と鎖樋の合わせ技」を選択しました。

取付が無事完了し、機能面の目的である、スクリーンへの雨だれ回避とともに、意匠面の目的である、外観への影響を最小限におさえることも達成できたようで、ホッとしています。

足元の納まりです。

鎖樋を伝った雨水は、化粧砕石を経由して地盤面下へ浸透します。

猫の爪研ぎ場所(後編)

前回のブログにてご紹介した、「爪研ぎされた建具枠」は、その後、クライアント様からご提案いただいたアイディアを基に、改修をおこないました。

上の写真の左手に掲載されている、洗濯板(ご存知ですか??)状の板は、「爪とぎボード」という名称の、猫の爪研ぎ専用の板で、獣医院さんの待合に置かれていた雑誌に掲載されていたそうです。

「このボードを建具枠に貼り付けてはどうか?」とのクライアント様からのアイディアを基に、爪研ぎボードの加工と建具枠の痛んだ箇所の取替などの作業を木製建具業者さんにお願いしました。

そして作業は無事完了して、

上の写真のように仕上りました。

爪研ぎボードの木生地色が、壁面の白、木部の黒に対して程よいバランスとボリュームで、ボードと枠の取り合いも、すっきりとした「よい仕事」に納めてもらいました(中井木工所さん、ありがとうございました)。

後日クライアント様にお伺いしたところ、猫くん、気持ちよさそうにこの場所で、爪研ぎしているそうです^^

猫の爪研ぎ場所(前編)

先日、「川沿いの白い家」のクライアント様から、ご自宅の引戸補修について、ご相談の連絡をいただきました。

電話でお話を伺ったところ、引戸は室内のもので、補修内容は、レールや戸車などのいわゆる消耗部材の交換ではない様子です。ともかくまずは現況確認に伺いますとお伝えし、後日お邪魔したのですが・・・

引戸は、上の写真のように、框(かまち)組みされている枠材の、手前側の縦枠が、鋭利な何かで削り取られた状態になっていました。

クライアント様にお伺いしたところ、この場所は、猫のお気に入りの爪研ぎ場所になっているとのことで、そう、「鋭利な何か」とは猫の爪で、この実行犯(笑)は猫でした^^

逆方向からの写真を見ると、削り取られた様子が更によくわかるのですが、厚さ30ミリの縦枠が、場所によっては1/3程度しか残っておらず、このまま爪研ぎが続けば、現状の構造を保てなくなる可能性もないとは言えません。

枠材の樹種はスプルース(マツ科)で、内部建具によく用いられるものなのですが、しかし、これほどの状態になるまでに爪研ぎしたこの場所は、猫にとって、よほど気に入った場所なのだろうなあと妙に感心しながら、何か対策を考えなければなりません。

とはいえ仮に、枠材をあたらしいものに交換しても、ここが猫のお気に入りの爪研ぎ場所であれば、「同じこと」が繰り返されそうでもあります。

うーむ、さて一体どうすればよいでしょうか・・・

(「後編」へ続きます。)

内部造作工事(「彦名の家」)

「彦名の家」は、木工事も終盤戦に差し掛かり、現在、内壁の石膏ボード張りなどをおこなっています。

写真上部に見える、格子状の壁下地から先(奥行=半間、約80㎝)は、小屋裏空間です。

ここはリビングに設置するエアコンの、電源と冷媒管の配管スペースで、当初は設置・配管とメンテナンス用に、壁付け点検口を設ける計画でした。が、上棟後に確認してみたところ、点検口(約45㎝角)ではヒト・モノの出入りがし辛く、おそらく後々のメンテナンスにも悪影響を及ぼしそうです。

それならばと、点検口をキャンセルして、小屋裏への出入りは、壁面左手に開口(壁長さの約1/4のところ、格子状ではない部分が「それ」です)を設け、片引き戸を介して出入りできるように設計変更しました。片引き戸はその他の建具の意匠に併せて、しな合板素地のフラッシュ戸とする予定です。

あけましておめでとうございます。

あたらしい一年がはじまりました。

本年も引き続き、地に足のついた住まいづくりをクライアント様、職方のみなさんと一緒に、コツコツ進め積み重ねてゆきます。「安心して住み続けることのできる家づくり」を念頭に、精進を重ねて参ります。

皆様には変わらぬご愛顧のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。

2021年1月1日

渡辺浩二