年末のご挨拶

今年も残すところあと僅かになりました。

毎年のことですが、12月に入ってからは、本当にあっという間ですね。

おかげさまで今年も健康で、現場での事故も無く、一年を無事に過ごすことができました。

当ブログで皆様にお伝えしたいお話はいろいろあるのですが、ここのところ更新に至らずで、申し訳ありませんでした。ストックしている 「ネタ」 については追々記してゆきますので、来年も、変わらずお立ち寄りいただければ幸いです。

尚、弊社の年末年始の休業期間は下記のとおりです。

(休業期間)
12月28日(土)から1月5日(日)まで
※新年は1月6日(月)より、業務開始します。

時節柄、くれぐれも体調など崩されないよう、お気を付けください。
来年も変わらぬご高配を賜れますようお願い申し上げて、年末のご挨拶とさせていただきます。

それでは皆様よいお年を^^

渡辺浩二

建築模型 (東津田の家)

「家づくりの流れ」 でも触れていますが、弊社は原則、基本計画案がまとまった段階で模型を作り、クライアント様にご覧いただいています。

模型 (縮尺50分の1) を使って、

・室内と外観のボリュームや質感
・室内への自然光の入る様子や視界の 「抜け具合」
・外部からの建物の見えかた

などについてご確認いただくのですが、今回は、先日お渡しした模型をご紹介します。

敷地は、前面道路から約40センチ上がった位置にあります。この40センチの高低差に 「敷地から1階の床面まで」 の高さを加えると、前面道路から1階床面までの高低差は、約1メートルになります。

この高低差に対して、

・無理のない段差、幅員、長さのアプローチを設け、
・同時に、自動車2台 + α + 自転車・バイク、の駐車・駐輪スペースを確保した

平面・空間構成とするにはどうすればよいか?

これが、クライアント様との打ち合わせを繰り返す中で見えてきた、課題のひとつでした。

この課題に対して、

まず、 「メインの構造体」 を敷地地盤面に計画して建物本体とし、そこに沿わせるように、道路面を基準とした平屋の玄関 (上の写真の左手裏側に、玄関戸があります) と駐輪場を組み合わせました。

前面道路から1階床面までの高低差は、玄関ホール内に階段を設け、段差部分の床面積を最小限に留めて、必要な駐車・駐輪スペースを確保しています。

バリアフリーへの対策としては、作業用動線である建物北側に作業運搬用のスロープを設け、主要動線については、リビングの南側外部に屋根付きのウッドデッキをしつらえて、リビング、デッキから庭を経由して駐車場に至るまでのルートとし、その間を緩勾配のスロープが確保できるだけの広さ (=長さ) としています。

屋根付きのウッドデッキは、バリアフリーの通路としてだけでなく、ウチとソトとを繋ぐ緩衝地帯として、建物と敷地の 「仲を取り持って」 もらうような意図も持たせています。

上の写真は建物西側 (そして1枚目の写真は、建物の東側) です。

冬の朝と夕方、敷地の上空ほぼ真上を東西に往って戻る、ハクチョウの姿を楽しむことができるようにと、基本設計時、バードウォッチングがご趣味の、クライアント様ご夫婦のご要望に沿いながら、東、西側それぞれの窓配置を進めてゆきました。

そうして決まっていったそれぞれの窓の位置や、採光、視界の抜けなどのご確認にはやはり、模型が一番だなあと、今回の基本設計の最終打ち合わせの際にもあらためて実感したのですが、引き続き現在も、進行中の実施設計の力強い味方となってくれています。

島根県松江市の計画です。

竣工 (広い縁側の家)

「広い縁側の家」は先日、竣工しました。

既存仕上材を剥してみないと分からない、改修工事ならでは、の不確定要素を吹き飛ばすかのような、工事期間中の現場の皆さん (肉眼・体感では捉え切れない精度の微調整を繰り返し、より適切な納まりや設備ルートを進言いただき・・) には、ここであらためて感謝申し上げるとともに、そのスピリットとスキルをまた存分に発揮してもらえるよう、次の計画案を練っていますので、ふふふどうぞお楽しみに。

さらに、耐震助成制度の活用について、ご指示ご助言をくださった出雲市建築指導課S様、床下構造部の調査に尽力いただいたK様M様など、本計画に関わってくださった全ての方々に、この場をお借りしてあらためて御礼申し上げます。写真の奥にそうした諸々が 「練りこまれている」 ような気がする、今回の計画でした。

クライアント様、これより長いおつきあい (ここまでも結構長かったですけど^^;) が、はじまります。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

その他の写真は、こちら からご覧ください。

床下点検口2.0

「広い縁側の家」は現在、内装仕上げがはじまっています。

上の写真は、弊社定番のフチなし床下点検口 です。

今回の点検口、一見これまでと特に変わりない意匠ですが、中身のところでは実は、あたらしいチャレンジに取り組んでいます。

今回は諸々の要因により、これまでのような基礎断熱 (※) ではなく、 「断熱材を床直下に配する」 いわゆる床断熱として、設計をおこないました。

断熱材の位置=内部と外部の境界線、となることから、上の写真のように点検口を開くと、その先は直ぐに外部空間、となります。

このようなケースでの点検口には、床下空間と室内の温熱環境を分け隔てるための気密、断熱性能が求められ、フチなし点検口を用いる場合でも、同様です。

(※)断熱材を基礎立上り外周部に配し、床下が室内と同じ温熱環境となるような断熱方法

こうした課題を与えられて、往年のテレビ番組、プロジェクトX風 (+田口トモロヲさん風^^)に言えば、 「断熱仕様のフチなし点検口を実現すべく、、、ワタナベ達は立ち上がった」 のですが、結論から言えば、ハッチの最下層に断熱材を配する以外は特別な部材や納まりを用いることなく、充分な気密、断熱性能を確保することができました。

参考までにそのメカニズムをご紹介すると、ハッチ自身の重みと断熱材の硬さの塩梅が、どうやら点検口の気密確保にとって、ちょうどよい具合だったようです。

今回に限っては、意匠面には目をつぶって、建材製品の断熱タイプ採用も考えたのですが、案ずるよりも産むが易しを地で行くようなフチなし点検口の 「進化」 に、これから床断熱仕様の案件に取り組む際にも自信をもって、クライアント様にお勧めすることができそうです (秦棟梁、進言いただきありがとうございました)。

本計画では、最終的に点検口は天井に1カ所、床下は、基礎梁で囲まれたエリアと給排水設備の配管などを勘案して、収納スペースなどに3カ所設置しています。

続 広い縁側の家 

前々回のブログで模型をご紹介した、 「広い縁側の家」 は、外部はモルタル下塗りまでを終えて現在は養生期間、内部では開口枠とカウンターの造作が進んでいます。

改修工事であること、つまり、仕上材をはがして内部を確認してみないと分からないことから、着工からここまでの間に、いろいろな 「はじめての貴重な経験」 を得たのですが、今回はそれらのなかで、構造に関しての幾つかをご紹介します。

内壁と床、天井を剥して、現 (あらわ) しとなった筋交い、土台、柱梁です。
上の写真の正面、 「2本のたすき掛けの筋交い」 が重なるところに、切れ目のような筋が見えますが、近寄ってよく見ると、これは片方の筋交いの切断面で、この状態は、現行の法令では 「1本のみの、片筋交い」 として扱われます。

耐震診断の際、クライアント様のご協力により、壁の一部を剥し、その部分の筋交いは上の写真と同様の 「片筋交い+切断筋交い」 であることが確認できていたので、残るすべての筋交いについても (安全側に見て) 同様であると仮定し、建物全体の壁量を 「設計図書よりも少ない状態」 として計算していたのですが、残念ながら仮定通りの結果となってしまいました。

土台は、ヒノキでもヒバでもない、あまり見かけない色と木目です。これは近づいてよく見ると南洋材 (秦棟梁の見解では、この年代の建物であれば、おそらくアピトン) で、現在では外部のウッドデッキなどにも用いる、非常に耐久性、対候性の高い樹種です。

今回、建物北東の柱 (マツ) が2本、シロアリによる食害を受けていたのですが、土台に関しては、柱の食害箇所の周辺を含めて全くの 「無傷」 で、さらに言えば浴室周辺の土台は、取り替える前提で計画を進めていたのですが、蟻害も腐朽もなく、これはよい意味での想定外でした。

2部屋をワンルームにするために柱を外すと、柱の中から鉄筋があらわれました。

そしてその鉄筋は、土台から小屋梁までを緊結していました。

2000年に大改正がおこなわれた建築基準法では、柱と梁、柱と土台の接合部は、地震などの水平荷重によっておこる、柱の引き抜き防止のために、金物などで適切に補強しなければならないのですが、これらの鉄筋は、そうした引き抜きを防ぐために、当時考案されたものなのでしょう。

梁の上端と土台の下端をボルトで固定しているこの鉄筋、おそらく現行法の金物に匹敵 (金物の種類によっては凌駕) する引き抜き抵抗力を持つはずで、今回撤去した数本の柱以外の箇所にもすべて、この 「約半世紀前の引き抜き補強」 は施されていました。これらの鉄筋たちは引き続き、今回新たに設けた金物と一緒に、建物を地震などから守ってくれるはずです。

柱 (と鉄筋) を取り外した小屋梁には念のため、上の写真のように構造用合板で曲げ補強をおこない、接合部のせん断補強には、この工程の後、壁際に添え柱を設けました。