前回に引き続いて、今回は wallstat を用いた耐震シミュレーション、「パソコン上の振動台実験」の様子をご紹介します。

モデル建物は、一年ほど前に当ブログでご紹介した計画案「山陰の気象条件に沿った住宅」です。壁の位置など、平面計画そのものには変わりはないのですが、条件がより「厳しく」なるように、小屋裏の「2/3をロフト、残りの1/3は勾配天井(吹抜)」とした、断面の変更を加えています。上の写真の建物正面が南側、の想定です。
模型を手に取って、いつもの手順で構造図を起こし、その構造図を wallstat でトレースして、実際に揺らしてみたのが下の動画です。入力地震波は1995年の阪神淡路大震災、神戸海洋気象台(神戸市中央区)で計測されたものを用いました。
次は、東側から見た、

建物の挙動(応答)です。
実験結果を数値から振り返ります。
今回の建物の最大変形量は、X(東西)方向が16.1mm、Y(南北)方向が24.8mmでした。
上の動画で、色が「グレーから、黄色」に変わった、開口を通して奥のほうに見える壁は、その壁が「建築基準法等により2段階に定められている、変形量の規定値(今回のケースでは1段階目が22.5mm、2段階目が90mm)の1段階目を上回った」つまり、最も動いた(24.8mm)部分であることを示しています。
実験結果の「全体から見た位置づけ」と併せた、個別で具体的な内容については、次のブログであらためて述べますが、「必要な量を満たし、かつバランスの良い耐力壁の配置」、言い換えれば「初期段階の平面計画」がいかに重要であるか、といった基本事項について、今回強く再認識することとなりました。