建具レール

Mマンションは現在、仕上げ工事が進んでいますが、

今回は、そこから少し遡って、引戸レールの仕様決めの様子をご紹介します。

弊社が引戸レールの「定番」として用いている積層強化木の木製レールは、無垢材の床板との相性はとてもよいのですが、今回床板に使用する、塗装済みの建材製品とでは、素材感の違いが主な要因なのでしょうが、なんというか、お互いがお互いの良さを引き出せません。

そこで、あらためて候補を選び直して現場に持ち込み、再検討した結果、 (上の写真の)アルミ製Vレール ならば、やや硬質な風合いの床板との相性もよく、本計画の室内イメージに沿ったものになりそうです。

レールの色は、白系の床板を引き締めるマットシルバーです。レール取付は、現在進んでいる仕上工事の後、建具工事の際におこないます。

測ってみたら

おそらく同業他社のみなさんと同じように、日々の設計業務は、そのほとんどが紙と鉛筆を用いない、パソコンによる作業となっています。とはいえ元々は機械(パソコン)を介するぶん、手書きの製図にくらべて確実に余計なひと手間を要して「もどかしかった」はずなのですが、作業場所を選ばず図面の保管スペースも必要ない、総合的な使い勝手のよさが勝って現在の姿に落ち着いたようです。ここのところの定番となった現場での詳細図書きも、ノートパソコンなしには成り立ちません。

また、情報伝達についてはそこからもう一歩進化していて、そうして書いた図面等のデータは、電子メール経由で工事関係者の手許(スマートフォン)に共有できるようにもなっています。 そういえばここのところ、現場での打ち合わせにタブレット持参で来られるメーカーさんも多くなりました。

と、 前置きが長くなってしまいましたが、こうした私の日常業務「以外」のところでも、どうやら世の中では同じように、というかそれ以上に便利になっているようで、今回はそうしたなかで受けた恩恵について書きます。

先日、 0.1グラム単位で材料を計測しなければならなくなり、身の回りにある計測機器を引っ張り出した結果、最小単位は、自宅にあった料理用の秤の「1グラム」でした。

これは、どうにもならない場合は近所の境高校に駆け込んで、理科実験用の天秤を貸してもらおうか(一応OBなので)などと考えながら、まずはホームセンターに向かってみたのですが、品ぞろえのなかには0.1グラム単位対応の秤(料理用に用いるものを「クッキングスケール」と呼ぶのだそうです)も各種あって、問題は10分程であっさりと解決してしまいました^^;

そのなかから価格がお手頃なものを選んで事務所に戻り、いざ計測に臨んだのが上の写真です。おかげさまで無事0.1グラム単位の計測にも成功して、必要な分量を小分けにすることができました。妙な表現かもしれませんが、計測する粉末の、僅か数粒の違いで表示グラム数が変化する様子は、驚きを通り超えて畏敬の念すら抱けるほどで、更に言えば、粉末の下に敷いたフィルムの重さをあらかじめ除いて計測できたりと、高精度に加えて至れり尽くせりでした。

機能や使い勝手は現状更新を続けて絶えず進歩して、世の中は知らない間にどんどん便利になっているのですねえ。

Mマンションリノベーション

今春の三期工事に引き続いての、リノベーション工事です。

今回は主要間仕切りの変更はおこないませんが、電気設備、衛生器具、設備配管の撤去新設に加えて、インテリアを これまで とは異なる色調、質感となるよう計画しています。

準備工、解体工事と設備配管(線)工事等を経た現場は、週明けより木(下地)工事を開始します。

残暑お見舞い申し上げます

ブログ更新が長らく滞っておりました。申し訳ありません。

6月末の記録的な暑さではじまり、今月はじめの「観測史上最高」の暑さ(その日、検査で上った屋根面が尋常ではない高温となっていて、あやうく火傷しそうになりました^^;)を経て、まだ暑い日が続く山陰地方です。今年はなんだか夏が二度訪れたかのような気さえしていましたが、ここにきて、僅かですが秋の気配を感じるようにもなりました。

予報によると、週明け以降もしばらくは暑さが続くようです。外で作業される方も、室内の方も、適度な休憩と水分補給とで、くれぐれもどうぞご自愛ください。

排水管の「**詰まり」

上の写真は、先日竣工した改修工事の、排水経路の改修作業の様子です。

これから排水管を切り開いて、内部の状況を目視確認するところなのですが、顛末の感想を先に記してしまうと、こんなことも起こり得るのだなと、驚くやら感心するやらでした。

クライアント様への改修前のヒアリングでは、浴室と台所の排水の流れが悪く、その都度ラバーカップなどを使ってみてもあまり効果はなかった、とのことでしたので、まずは第一段階として、建物内の浴室側と台所側にある、それぞれのトラップ(排水時の「関所」)に溜まった汚れなどを取り去ってみたのですが、流れは悪いままで改善しません。

次に、建物外周に設けられている、排水経路の掃除口(上の写真の「ふたつ並んでいる白丸」の小さいほうです)の蓋を開いて洗浄用ノズルを排水管内に通してみたところ、油脂等とは異なる「何か」に当たってノズルが先に進みません。

ならばもう最後の手段です。目視確認のために排水管を切り開いてみると・・・
注:以降の写真には、部分的にモザイク加工等を施してあります。

排水管を切り開いて目視確認して、発見された「洗浄ノズルを妨げる『何か』」の正体はなんと、管内に入り込んだ木の根、でした。

本計画の建物には、排水経路のそばの隣地境界に沿って、風除けの植栽が一列に配されているのですが、どうやらその根が水を求めて排水管のなかに進入し、長い年月の間に、伸びて枝分かれしてまた伸びて・・を繰り返した結果、管内の流れを阻害するほどのボリュームとなったようです。

よく見ると根は、径の異なる管と管を繋いだところにできた隙間から、充填してあるシーリング材を突き破って管内に進入していました。

原因がハッキリしたところで、管を洗浄してから根を丁寧に取り除き、切り開いた排水管に代わる新しい管は、根の進入がおこらないように、隙間のない専用部材(ソケット)を用いて既存管に繋ぎ直しました。

そして埋戻して、加えて、ダブルトラップとなっていた掃除口の蓋を「通気用」のものに交換して、まずは台所の排水経路の改修作業が完了しました。

もうひとつの不具合箇所であった浴室についても同様に、「最終手段の目視確認」を経て、排水管のなかに入り込んだ木の根が見つかりました。

伸びた根の様子をよくよく調べると、

・水を求めて、建物内に進入し、
・浴室の床下まで伸びた根は、
・浴槽の排水金具と排水管の隙間から排水管内に入りこみ、
・そこから管の排水方向に沿って伸びていって、
・(外部にある)掃除口まで戻ってきていた

という、なかなかダイナミックな経路を辿っていたのですが、こちらも、台所と同じ手順で根の撤去等をおこない、正常な流れを取り戻しています。工事を担当してくださったF社H本さん、お世話になりました 。

それにしても植物の力というか、自然の力恐るべし、です。