実録 床下潜入レポート

唐突ですが、建物の耐久性は床下空間の寸法に比例する、と私は考えています。

定期的な点検に支障がでないこと、より砕けて言えば、潜るのに「億劫でない」設計としておくことは、点検作業の質を左右する問題だからです。

これは現場監督(工務担当者)時代にいろいろな床下に潜って得た実感なのですが、当時はまだベタ基礎がそれほど普及していなくて、湿気を帯びている場合にはシートを敷いてからの潜入でした。可能なことについては実体験するに限るというのは建築設計だけの話ではないのでしょうが、設計者が実際に床下に潜って自身の目と身体で確かめることは、私のなかでは「アリ」な行為です。

というわけで、今回は床下空間(の一部ですが・・)には何があるのか、以下、実際に潜った写真をご覧いただきながらのご紹介です。

写真、なんだか海底にひそむ深海の生きものみたいですが、給湯器からのお湯を各所に配るための分岐の部材です。接合部はこの部分と各所蛇口との接続部だけなので、漏水に対する信頼性が高く、メンテナンス性にもすぐれています。

余談ですが、ヘッドランプ(カンテラ)を頭につけて潜ると、目の前は明るく両手は自由に動き、とても便利です。

分岐部材から各所へ流れてゆく給水管たちです。

なんだか放流されて大海をめざして泳ぐ、稚魚の流れに見えなくもない(いや、巨大蛸の脚か?)ですが、実際の行き先は浴室や洗面所、キッチンなどの蛇口で、赤はお湯、青には水が流れています。

直接日光は射し込まない床下空間ですが、土台(ヒノキ)もいい色になっています。

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