鳥取民芸美術館

一級建築士の登録に鳥取市まで出掛けた折、せっかくの機会だからと、ちょっと寄り道をしてきました。上の写真、鳥取駅近くの若桜街道沿いに並ぶ瓦屋根の、いちばん左の建物が寄り道先の鳥取民芸美術館です。約2年ぶりの再訪です。

1949(昭和24)年、民芸運動家の吉田璋也氏により「鳥取民藝館」として開設され、古民芸約3500点、新民芸約1500点を収蔵し、特に李朝陶磁、高麗茶碗や吉田氏がプロデュースした新作民芸の蒐集に特徴がある美術館で、並び建つ地蔵堂、工芸店、割烹を併せた一群は、民芸コーナーともよばれています。

入口への階段を登って扉を開けて、スリッパに履き替え板の間に上がって受付を済ませ、こじんまりとした館内の1階2階を順路に沿って進むのですが、展示品だけでなく、陳列用の棚、建物自体のディテールなど、館内のそれぞれすべてに目移りして、なかなか次に進むことができません。飴色の木製階段を登って2階を巡り、奥に設えられた休憩用の木製椅子まで辿りついて腰掛けると、座り心地のよさに前回同様、しばらく時間を忘れてしまいました。

入館時にいただいた、美術館を紹介するパンフレットの一部を引用します。

「・・・・茲(ここ)に陳列してある品々は次のような事柄を語っています。非凡な天才の芸術家ばかりでなく、平凡な一介の職人でも、斯くの如く美しい物を作ることが出来たとか、贅沢な高価なものだけに高い美があるのではなく、一般民衆の実用品のなかにこそ健康な美が宿っているとか、観賞するために作られた美術工芸品だけが美しいのではなく、寧ろ用いるために造られた実用品の中にこそ真の美しさが表現されると云う事実を具体的に見ることができるのです・・・・」

芸術に明るくない身としては、「健康な美」への私の理解はきっと不完全なものなのでしょうが、そこに少しでも近づけるようなものづくりを思って寄り道を終え、境港に戻りました。

事務所のカレンダーがまだだったので、お隣の工芸店で求めました。

今年の予定を眺めたら、うまくいけば春に、もう一度訪れることができそうです。

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