県産杉材の破壊実験

鳥取県産の杉材を使った、木材の破壊実験を見学してきました(木造住宅推進協議会さん主催の「木の勉強会」、会場はポリテクセンター米子)。

実験開始の15分ほど前に到着すると、会場には既に実験用の架台が組み立てられ、加圧用のジャッキもセットされて準備万端です。この写真には写っていませんが、右手には、取材用のテレビカメラが並んでいます。

実験は、架台中央に油圧ジャッキを据えて、下端の材(1回目が12*12センチ、2回目が12*15センチの断面)を押し(=荷重を掛け)続けながら、

・どのくらいの荷重で
・どれほど曲げ変形をおこすのか

を、時系列に計測しながら進んでゆきました。

油圧ジャッキは手動式です。ジャッキ左側のバーを上下に動かすことで加圧が進みます。バーを動かす「ジャッキ係」は、会場内の若手代表である、米子高専の生徒さんが担当されました。

バーが上下しジャッキからの荷重が増してゆくほどに、杉材も徐々に「たわみ」を増してゆきます。当日とったメモによると、曲げ変形の量(変位)が7.5センチほどになったころ、「バキッ」という大きな音とともに、

材の下端が裂けました。そして、ここを境にして、加圧ごとの変形量と、材の裂け目もどんどん広く大きくなって、

やがて何度か目の「バキッ」の後、木材高さ(せい)の真ん中あたりまで裂け目が達したところで、1回目の実験は終了となりました。終了時点での荷重は13.3キロニュートン(約1.3トン)で、材の破壊に巻き込まれて起こる機器の破損を避けるために、変位量の測定器は既に取り外されていました。

木材の曲げ破壊が、「木材の下端の繊維が(引っ張りに耐えきれなくなって)切れる」原理で引き起こされるのは、理屈では分かっていたつもりでしたが、頭の中のイメージ以上に杉材が粘り強いことを実感できたのは大きな収穫でした。併せて、おなじみの条文である建築基準法施行令第44条「横架材にはその中央部付近の下側に耐力上支障のある欠き込みをしてはならない」についても、すとんと肚に落ちました。

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