「私家版 家づくりガイド」その2(夏涼しく冬暖かい家①)

夏涼しくて冬暖かな家、とは言うけれど、

「夏の暑さと冬の寒さが身体への負荷にならないように工夫された、ほどほどに快適な家」

くらいに言い直したほうが、実状とクライアントさんの心情をより正確にあらわしているように感じています。実際のところ夏は暑いし冬は寒いし、効きすぎた冷房も暖房も、どちらもあまり気持ちの良いものではないですよね。

では夏と冬に「ほどほどに快適」であるためには、何が必要なのでしょうか?私(渡辺)は、以下の6つであると考えています。

夏の場合:

①日射を防ぐこと。
②室内の空気(熱気)が澱まないようにすること。
③通風がよいこと。

冬の場合:
④室内の熱をできるだけ外に逃がさないこと。
⑤足元があたたかくなる(冷たくならない)ようにすること。
⑥できるだけ日差しを取り込めること。

こうしてみると、ヒトと衣類の関係に共通するところが多いようです。

そしてあえて言い切ると、これらが住宅の温熱環境一般を考えるうえで、考慮すべき項目の最低限です。

次に、これらを盛り込んだ計画を進めるにあたって、最低限必要な自然環境の知識を整理しておきます。

以下の6つ、

夏の場合:

①夏の日射量は屋根面がもっとも大きい。東と西の壁面が同率2位。
②入口と出口があれば、室内の空気は流れる。
③空気は暖められると軽くなり上昇する。

冬の場合:

④建物から逃げる熱には、3つの逃げ道がある。
⑤熱の伝わり方にも、3つのルートがある。
⑥冬の日射量は南の壁面がもっとも大きい。
です。

なんだか中学校の理科みたいですね(^^)

さあ、下ごしらえはこれで完了しました。

それでは、これら「ほどほどの6項目」を実現するために、現在どのような方法があって、どのような特徴、長所短所や課題を持っているのか、以降、順を追って書きます。

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