「私家版 家づくりガイド」その3(長持ちする家)

家づくりにおけるアンケート調査で、関心の高いことがらの上位ふたつは、

①構造
②断熱

です。

安心して心地よくすごせることとは、その家に求められる基本であり、最低限クリアしなければならないハードルです。そしてそのハードルは、家が建っている間ずっと超え続けなければなりません。

今回は、そのハードル超えを担保するもの、家の耐久性について書きます。

まずは公による基準、仕様について触れておきます。

日本住宅性能表示基準には、

・耐久性と
・メンテナンスのしやすさ

について仕様が定められていて、等級分けされています。これらは長期優良住宅の認定基準のひとつです。

仕様についておおまかに言えば、3つに分かれていて、

①建物への水分(水蒸気)のコントロール
②点検口など、メンテナンスを見越した設計の具体的な指標、
③耐久性からみた樹種の分類、

です。

①では、腐朽やサビやカビやシロアリの発生を防ぐよう、水・湿気が過剰に流れたり、留まったりしない工法が定められています。

以前の ブログ で触れましたが、あたためられると上昇する空気の特性をいかした、外壁通気と小屋裏換気の工法は、結果的にに漏水防止と除湿の役割も果たしています。

②は、配管と構造体との関係や点検口設置の義務、点検スペースの寸法など、③には、湿度の多い地盤面付近に使う木材は、ヒノキやヒバ(または薬剤処理品)などの使用が定められています。

地味であまり目立たないですが、どれも重要です。

①についての不具合のひとつに「壁体内結露」という現象があります。

流れ込んだ空気が壁の中で冷えて露となって(結露して)留まり、その水分がカビなどを招くものですが、結論からいえば、この結露の原因は「不適切な空気の流れ」です。そこに使用される素材自体の違いは直接には関係ありません。

最近でこそ、この種の誤解はだいぶ減ってきた印象ですが、どうぞ誤解なさらぬよう。

このように、耐久性やメンテナンス性を向上させるための仕様はひととおり揃って、私の知る限り、一般に普及している印象でもあります。

これらは設計、施工時にも一目では判らないほどに、仕様・コストのどちらともに些細な違いでしかないのですが、完成後数十年におおきな違いを生む要因だろうと、私は考えています。

次回は、火災時の安全性について書きます。

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