・コスト(費用=支払うもの)と
・パフォーマンス(効果=仕上がり)について、
拾い出して分類してみました。
(コスト)
・時間
・お金
・アイディア
(パフォーマンス)
・気持ちのよさ
・安心感
・使いやすさ
・完成までの過程の充実度
と、いったところでしょうか。
費用<効果
と感じたら、その家の「コストパフォーマンスは高い」と言われ、
効果<費用
ならば、「コストパフォーマンスは低い」と評価されます。
このように整理すると見える、住宅のコストとパフォーマンスには、2つの大きな特徴があります。
家づくりではコスト(時間、お金、アイディア・・・)は常に先払いです。既製服のように試着はできませんし、昼定食のように、いろいろ試してみた後でお気に入りを見つけることも原則叶いません。
ふたつめは、
パフォーマンス(仕上がり)は、実際に出来上がってみないと実感を伴いません。
図面や模型だけでイメージしきれるものではないですが、かといってそのために実際に家三軒建てるわけにもいかないですし・・・。
もうすこし具体的に言えば、図面や模型、場合によっては現寸見本を用いて複眼的な検討を繰り返せば繰り返すほど、その「想像」は完成時の実感に近づいてゆきます。その繰り返しを納得ゆくまで続けると、肉薄に至ります。
その肉薄は、舞台前稽古の充実と上演内容の関係と同じように、現場のパフォーマンスを押し上げて、そして建設費用を押し下げます。練習は嘘をつきません。
最近特にそんな感じです。便利な手軽さの先にあるものと長いスパンの信頼との結びつきが、正直なところ私にはイメージできません。
家づくりにおいて、完成してから50年先を「想像」して、そこだけの最適解を考え工夫することは、その計画にかかわる当事者にしか実感できないもので、その人、人たちにしか感じることができない事柄には、たぶん近道はありません。
長きにわたり書いた「私家版家づくりガイド」は、これにて終了です。快適な家づくりの実現のための「魔法の杖」がもし存在するのであれば、それは先人からの知恵のような「案外普通のことがら」の積み重ねと組み合わせなのだろうとの考えは、ひととおり書き終えて更に強くなりました。
以上、参考となれば幸いに存じます。最後までお読みくださってありがとうございました。