善き書店員

今井書店さん(本の学校)店舗リニューアル1周年記念のトークイベントを拝聴してきました。

「調理場という戦場」(斉須政雄さん/幻冬舎文庫)のインタビュアー、木村俊介さんとミシマ社代表の三島邦弘さんとの対談で、さきごろ出た木村さんの著書「善き書店員」(ミシマ社)をメインに一時間半、いろいろなお話を伺うことができました。

ぱっと見クールな木村さんとエネルギッシュな三島さんとの対照的なおふたりなのですが、今の時代を生きる普通の人たちの声を届けることの意味や、あたらしい出版社のかたちづくりに賭ける思いを語る姿からは、共通の使命感に裏打ちされた力強さ、とでもいうような何かが滲み出ていました。

うまく表現できないことが悔しいのですが、勇気を分け与えていただいたような、なんというか、ジャムおじさんとアンパンマンみたいなおふたりでした。

「善き書店員」、さっそく買い求め、いま読み進めています。

6人の書店員さんのロングインタビューの本で、本屋さんや本をとりまくお話がそのほとんどなのですが、売上の減少、買い手がほんとうに求めている声が反映されにくい複雑な構造やセクショナリズム、前時代のシステムがひきおこすオーバーワークのなかのふるまいかた、本そのものに関わる事の喜びや誇りなど、私の属する建築業界を振り返って、強い共感をおぼえながら読んでいます。

そして、これはひょっとしたら出版や建築以外の他業種でも、あるいは大袈裟かもしれませんが今の世の中全般のそこここにも、同じようなことが顕れているのではないかと考えるようにもなっています。

それはともかく、登場される書店員さん(と聞き手の木村さん)の誠実なお人柄が言葉のなかから溢れる、読んでいてとても気持ちのいい、元気になれる本です。

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