2014年の坪単価の効能と限界(逆算プランニングその1)

坪単価とは、

=ある建物の建設費÷その建物の延べ床(=1階2階など全ての床)面積です。

例えば、建設費が2000万円、延床面積40坪(*3.3=132㎡)で完成した住宅の坪単価は、2000万円÷40坪=50万円/坪、坪単価は@50万円/坪です。

この流れを逆から辿れば、

@50万円(坪単価)*40坪(延床面積)=2000万円
のように、建設費を推定することもできます。

1:敷地条件
2:建物形状
3:規模
4:仕様

この4つが全く同じであれば、上の式、
@50万円/坪*40坪=2000万円

は、新たな計画の予算としても、そのままで成り立ちます(同じ建物ですから)。

また、まったく同じではなくても多少の違いであれば、その実績はその後の有効な目安となります。そうした事例があればあるほど、あたらしい計画案を立ち上げる際の参考資料の範囲は広がるわけで、より正確な予算組みを可能にします。

繰り返しになりますが、坪単価が決まる要素、完成した住宅の価格を決定する要素とは、

1:敷地条件
2:建物形状
3:規模
4:仕様

の4つです(設計・施工者、体制の違いによる差については後述します)。

逆に言えば、この4つが定まっていなければ、その建物の坪単価が@45万円/坪なのか、@75万円/坪なのか、算出することも、それを基に目安とすることもできません。

昔々、駆け出しの現場監督時代に担当した木造住宅の工事に一度だけ、「延べ床面積*坪単価=請負金額」にて請負契約締結されていた現場を経験しました。

当時、そのことに特に違和感も抱かないまま、現場はつつがなく進んでいったのですが、結局それが最初で最後の経験だったように、どうやらこのあたりで潮目が変わったようです。

ちょうどその頃を境にして、構造や断熱性能など住宅の内容への関心が高まり、性能表示制度の制定、建築基準法の大改正、住宅政策5カ年計画に代わる住生活基本法の施行に見られるように、一般の方々の家づくりに対する関心や、国の住宅政策の方向性があきらかに変わったのだと今ならば振り返ることができます。

あれから二十年弱が経った現在、坪単価は、いまでも建物予算とボリュームを初期段階に大掴みするために大変重宝する指標のひとつです。おそらくそれはこの先も変わらないでしょう。けれども、重宝するのは初期段階までです。なぜならば、ひとことでいえばコストダウンを計れないからです。

その理由を詳しく述べる前に、ちょっとだけ回り道をします。
次回、住宅が現実のかたちを成してゆく過程で、誰がどのように関わっているのか、その仕組みを整理します。

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