家ができてゆくシステム-「お金の流れ編1 」-(逆算プランニングその3)

家づくりの「現場」が成立するための必要十分な条件は、

・人(専門工事業者)
・人(現場管理者)
・材料

の3つが揃う事です。

今回はこの3つに配分されるお金(コスト)の割合について書きます。

それぞれに、どれほどのコストなのかを知ること、とは、

①専門工事業者の作業量
②現場管理者の作業量
③材料の量

が、その現場において、どれほど必要なのかを知ることです。

大掴みにいえば(システムキッチンやユニットバスなどの住設機器や仕上げの仕様と、施工難易度が一定であれば)、作業量、材料の量は、その現場の規模に比例します。

延べ床面積30坪の家と100坪の家では、100坪の家により多くの作業量と材料、つまり多くのコストがかかります(=お金が流れます)。では、規模、コスト=坪数、床面積なのでしょうか?

いわゆる坪単価(工事費÷延べ床面積)がいまも有効な目安であるのは、延べ床面積が、住宅の規模をある程度までは示せるからです。

が、「ある程度」以上になると、いろいろと不都合が生じています。なぜならば作業面は床だけではなく、その他屋根、軒裏、外壁、天井、室内壁の5つの面があって、これらの面積は建物の高さ、形状、各階の比率と所要室の数によって、その計画ごとに異なります。必要作業量と材料量、つまりその建物のコストから捉えた「規模」とは、これら6面の表面積の合計(=施工表面積)に一致します。

これは私見ですが、古来の日本建築には室内の壁がほとんどなく、間取りや階高も一定であったことから床面積の全表面積に対する割合がおおきくて、故に床面積がその「規模」をある精度で掴むための基準として機能し重宝され、その流れを汲んで今に至ったのが坪単価なのではないかと想像しています。

左官屋さんに外壁と室内壁に200㎡の漆喰を塗ってもらうと、200㎡相当の作業量、材料費、そして現場管理費が発生します。それは150㎡でも250㎡でもなく200㎡です。150㎡だと足りないし、250㎡ならば50㎡分がロス、無駄なコストです。

そのロスを防ぐためには数量を正確に計測できるだけの図面(設計)と図面から数量を正確に計る手間(積算)が必要で、経験からいえば、現場で発生するロスは、設計・積算のコストを上回ります。

これはコストダウン以前の問題とはいえ、「正確なコストを把握できないために生まれるロス」の芽を確実に摘んでおくことが、まず実践すべき、コストダウンの第一歩です。

次回、この「第一歩」について、異なるアプローチをご紹介します。

カテゴリーlime