境界標いろいろ

クライアント様と建設地の下見に行った時のことです。

「境界のところに金属のプレートが貼ってあるけど、刻印されている桐紋、あれは何を意味するの?」とのご質問をいただいて、あれ、なんだったっけと返答に詰まってしまいました。

どこかで見たはずなんだけどなあと帰って調べたら、桐紋は日本国政府の紋章で、古くは室町幕府の小判にも刻印されていたそうです。

土地境界の位置を示す、境界標には、鋲(びょう)や杭や、写真のような金属製のプレートなどがあるのですが、そこには、矢印などで境界の位置を示すのと一緒に、設置者が誰であるのかが、記されていることもあります。

たとえば、

これは、市道(歩道)と店舗の境界です。自動車の進入路のうえにあるのでタイヤで磨かれ、矢印や文字の赤色が剥がれて、表面もぴかぴかです。

国道9号線の歩道で見つけました。「国」とは、国土交通省のことで、この近くには「建」(旧建設省)のプレートもありました。

「工」とは「え」ではなく、旧工部省の「工(こう)」、旧国鉄のマーク(初代)です。山陰本線の高架下で発見しましたが、残念ながら近くには「JR」表記のプレートは見つかりませんでした。

弊社より徒歩1分、境港郵便局の境界杭(御影石)は、市道との境にあるブロック塀に、半分埋め込まれた状態で設置されています。

もともと境界杭があって、そのあとの塀、なのでしょうが、諸事情あってのこの状態なのは想像がつくものの、建築屋の性なのか、杭上端と塀のあいだにできた空間に汚れやゴミが溜まるだろうなあと、前を通るたびに余計なお世話が頭に浮かびます。

といった具合に、境界標の設置者もいろいろで、さらにネットで調べてみると、各省庁やNTT、私鉄、さらには一般企業に至るまで、世の中にはさまざまな「名前の」境界標があるようです。

で、金属プレートの桐紋は「誰」を示すのかといえば、それは日本国政府、ではなくて、国家資格である「土地家屋調査士さんの業務である」ことをあらわしているのだそうで、プレートの紋章をよく見ると、桐紋の中央には、測量の「測」の文字があしらわれていました(調査士会の方に教えてもらいました)。

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