ノバク・ジョコビッチ伝 (実業之日本社)

15日早朝にあったテニスのATPマスターズ1000、BNLイタリア国際の準決勝は、3セットマッチにもかかわらず試合時間が3時間を超えた、まさに激戦でした。

結果から言えば、残念ながら錦織選手は最終セットのタイブレイクで敗れてしまったのですが、勝負どころでデュースを繰り返した末に相手のサービスゲームを奪い返してからは、なんというのか、勝ち負けを超えたところの「ありがたいもの」を見せてもらっているような不思議な感覚でパソコンの画面を眺めていました。

「まさか自分が生きているあいだに、世界6位に日本人選手がランクされて、絶対的な王者を相手にしてがっぷり四つに組み、こちらの手がしびれてしまうような紙一重の展開を(しかもマスターズ1000の準決勝で)みることができるなんて・・・」と、10年前には想像すらできなかった現実を目の当たりにして、このまま試合がずっと続けばいいのにとも思っていました。

その試合の相手であり勝者であるランキング1位、ジョコビッチが最終セット4-2、40-ad の場面で、「自身のサービスゲームを失う、『ブレイクポイント』を迎えているにもかかわらず、第一サーブを攻撃的に打たなかった(ルール上は、もっと強く打っても問題はなかった) のはなぜだったのだろう?」と、疑問に思ったのが本書を手に取ったきっかけだったのですが、読んでみて、その理由というか源に、単に品位が高いだけでは済まされない、より重く、大きなものがあるように感じました。

しかし錦織選手、本当に「紙一重」でしたねえ。次こそは・・・

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