「山陰の気象条件に沿った」家づくり 番外編 1

少し前に当ブログにて、

「雨降りの日が比較的多い地域である、山陰地方に暮らす私たちにとって、買い物帰りの車から家の中に入るまでの、人と荷物が雨(や雪)に濡れない工夫は、整えると重宝する、大切な機能のひとつなのかもしれません」

と、申しあげた記事 を掲載しました。

では実際にどのような工夫が出来るのだろうかと、その後いろいろ検討案を拵えてみたのですが、今回はそのなかの「濡れない平屋案」の模型を紹介させてください。

上の写真は、前面道路が付く、建物西側を捉えたものです。写真の左手、建物の北西に部分的に見える、屋根と柱で囲まれた空間が、屋根つきの駐車スペースです。

駐車スペース奥の勝手口ドアを開けると、そこから収納庫、パントリーを経由して、建物中央に位置するキッチンに繋がります。この経路以外のルートについては当初、雨天時に濡れないで移動することは想定していなかったのですが、

模型づくりの過程で、玄関の屋根の、軒とケラバの寸法を大きく取ることで、駐車スペースから玄関(と、その奥に設けた納戸)への経路も「濡れない動線」として充分効果的に使えることがわかり、設計変更しています。

こちらの写真は(「買い物からの、濡れない動線」でありませんが)、建物南・東側です。

写真正面(敷地南側)の主庭に対して、写真右手奥(東側)のスペースは、洗濯物干しから夏の夜の線香花火まで、前面道路からの視線を気にせずに使える、プライベートな家族のための庭、として計画しました。ウッドデッキには、先述の動線同様、雨に濡れないように、上部に屋根を架けています。

完成した模型をぐるりとながめながら、あらためて考えてみると、上に挙げた「濡れない動線」の整備は、室内ではないけれども完全な屋外でもないエリア、いわば「半屋外」の空間を充実させる工夫のひとつなのだな、と言えそうです。

建物をこのような半屋外の空間で包むことは、日々の利便性が増したり、プライベートな空間で寛げるなど一見、ソフト面の充実についてフォーカスされがちですが、そこから少しピントをずらして眺めた先にハード面、具体的にいうと建物への環境負荷低減(つまり省エネ)に対する効果も浮かび上がってきます。