風圧力と建物

お盆、そして処暑をすぎて、今年二度目の台風 (早いですね) を見送った翌日の朝、海の色と雲のかたちは、もうだいぶ秋に近づいている様子でした。そういえば昨晩、帰宅途中に立ち寄ったコンビニのビール棚には 「秋味」 が並んでいました。

現在設計中の建物が台風シーズンを過ぎてからの着工予定ということもあって、私の今年の台風への備えは、自宅の庭の物干し台を片付けるくらいで済みそうです。が、この時期だからこそ一度頭の中を整理しておこうと、今回は自身の復習を兼ねて、風のちから、風圧力と建物について書いてみます。もしよければおつきあいください。

空気の密度はとても小さく(1.2kg/m3)、同じ条件での水(1000kg/m3)の約800分の1です。「空気のような存在」などといわれるように、普段はそこにあるのかないのか、わからないほどですが、風となって巨大なブレードに当たることによって発電のエネルギー源となり、風速が増せば樹木を倒し自動車をひっくりかえし、建物を倒壊させるほどの力を持っています。

風力発電の出力は風速の3乗に比例し、風を受ける「ある面」の単位面積あたりの力は、風速の2乗に比例すると言われています。

ある場所に、1メートル四方(1m×1m)の板が看板のように地面に垂直に建っているとします。そこに風速20m/秒 の風が当たったとき、板に加わる力を計算すると約29kg(※1)で、大きな米袋一袋の重さと同じぐらいの力です。

これなら私でもなんとか担いで運べるかもしれません。なんだそのくらいのものかと、体感する風の強さに比べて力が弱いような印象を持ってしまうかもしれませんが、風を受ける面積が大きくなると、この話はずいぶん変わってきます。

例えば同じ風速で、50m2の壁面(≒総2階建て延床面積40坪の住宅の、外壁の一面)が受ける力は約1400kg(※2)と、3ナンバーの自動車一台分の重さと同じほどにもなります。これだけの重さ(力)になると、もちろん人力では太刀打ちできません。

建築基準法で想定される風の強さは、地域により最大風速(※3)30~46m/秒の範囲で定められています。木造建築物の構造設計の際には、地震と風圧力に対する検討をおこなうのですが、2階建てぐらいの建物高さの場合には、地震に対してよりも風圧力に対してのほうが、必要とされる強度が高くなって結果的に「耐風性能イコールその建物の構造強さ」となることも多いです。

建物の軸組み部分の高さを抑えた(=風圧力を受ける面積を減らした)設計とすることは、コスト削減に併せて、強い構造へ至る、確実なルートのひとつでもあります。

弊社のある境港市は、建築基準法では、「最大風速30m/秒」の地域で、気象庁の観測データによると、これまでの境港に吹いた史上最大値は、最大風速が19.5m/秒、最大瞬間風速(※4)が42.0m/秒で、ともに1991年の19号台風によるものでした。

先日の15号台風の通過前、通勤路沿いにある建築現場を覗くと、産廃コンテナは飛散防止のシートで覆われ、足場のメッシュシートは寄せて建地に固定され、道板の上と場内もきれいに片付けられ、お手本にしたいような準備と整い方でした。私も冬場の強風対策には、よくよく注意して備えようと思います。

現在稼働中の現場関係者の皆様には、引き続きどうぞご安全に・・・・

※1
1/2(係数)×1.2(空気の密度)×20(風速)×20(風速)×1.2(風力係数)
=288N(約29kg)

※2
288N×50m2=14400N(約1400kg)

※3
10分間の計測平均値です。

※4
3秒間の計測平均値です。

残暑お見舞い申し上げます

お盆を過ぎて、いくぶん暑さも和らいできたようですが、境港は朝からよく晴れて、セミも元気よく鳴いています。皆様お住まいの地域はどうですか?

引き続き、休息とこまめな水分補給等、どうぞ、くれぐれもご自愛を・・

「住んでみて分かったこと」 のアンケート結果

「いま住んでいる家に不満を感じることはありますか?」

新建ハウジングによると、持家一戸建てに住む全国20代以上の男女1万7737人のうち、 上の質問に対して6割の方が 「不満を感じる」 と回答しているのだそうです。
また、「リフォームで改善したい住まいの悩みはなんですか」との質問には、

「収納を増やしたい」21.5%
「効率的な動線にしたい」20.5%、
「もっと広くみせたい」13.1%

が、回答の上位3つなのだそうです。
記事を読んで、ああそうなんだとの感想のあと、よくよく考えれば、

・収納量
・動線
・視線の抜け

の3つを「外した」家づくりの計画って、いったいどんな話題で打ち合わせをするのだろうと、素朴な疑問が浮かんだりもしたのですが、一方、

「収納を増やしたい」
「効率的な動線にしたい」
「もっと広くみせたい」

といったキーワードが業界紙の記事として扱われている、ということは、いわゆる建築材料の「スペック」が、よい意味での飽和状態(成熟というか、大きな違いがないというのか・・・)を迎えていることを裏書きしているのではないか、との見方もできるようで、家づくりを考えている方へのアンケートの「関心の高いことがら」についての回答も、これからは、いままでとは違った内容になってゆくのかなあ、と思ったりです。

灼熱の東山庭球場

先週の日曜日は、朝から夕方まで東山庭球場にいました。台風の影響で午前中は風が強かった印象でしたが、それにしても暑かったです。

この日は、米子市テニス協会所属のクラブチームの団体戦で、ここ数年は建築士試験と重なって参加が叶わなかったのですが、幸いにも昨年で「年季明け」となり、晴れて3年ぶりの出場と相成りました。

団体戦は、ダブルス3ペアとシングルス2人の合計5試合のうち、先に3勝したほうが勝ち抜けのトーナメント方式です。前年の成績に応じて男子は1部から6部まで、女子は1部と2部に振り分けられたそれぞれ8チームが、来年の昇格を目指して戦います。今回は、今年5部に昇格したチームの方に声をかけてもらい、助っ人(という名の人数調整員)として参加させていただきました。

普段の「週一テニス」は夜とはいえ、梅雨明けして夏本番のこの時期は気温も高く、ウォーミングアップの段階で汗だくになります。

そこにきて久しぶりのお天道様の下でのテニスですから、もはや若者ではない身としては、一日身体が持つのかとやや心配だったのですが、試合中は「やっぱり暑いなあ」と思うくらいで済んだものの、翌日には見事に日焼け跡のヒリヒリと筋肉痛とに襲われて、けれども筋肉痛が翌日(3日後ではない)やってきたのは、ちょっぴり嬉しかったりでした(^^)

強風が神風となってくれたのか、個人的には2勝1敗の戦績で、チームも見事決勝まで進んで来年は4部へ昇格となりました。所用で参加できなかったのですが、夜の打ち上げのビール、飲みたかったなあ・・・

境界標いろいろ

クライアント様と建設地の下見に行った時のことです。

「境界のところに金属のプレートが貼ってあるけど、刻印されている桐紋、あれは何を意味するの?」とのご質問をいただいて、あれ、なんだったっけと返答に詰まってしまいました。

どこかで見たはずなんだけどなあと帰って調べたら、桐紋は日本国政府の紋章で、古くは室町幕府の小判にも刻印されていたそうです。

土地境界の位置を示す、境界標には、鋲(びょう)や杭や、写真のような金属製のプレートなどがあるのですが、そこには、矢印などで境界の位置を示すのと一緒に、設置者が誰であるのかが、記されていることもあります。

たとえば、

これは、市道(歩道)と店舗の境界です。自動車の進入路のうえにあるのでタイヤで磨かれ、矢印や文字の赤色が剥がれて、表面もぴかぴかです。

国道9号線の歩道で見つけました。「国」とは、国土交通省のことで、この近くには「建」(旧建設省)のプレートもありました。

「工」とは「え」ではなく、旧工部省の「工(こう)」、旧国鉄のマーク(初代)です。山陰本線の高架下で発見しましたが、残念ながら近くには「JR」表記のプレートは見つかりませんでした。

弊社より徒歩1分、境港郵便局の境界杭(御影石)は、市道との境にあるブロック塀に、半分埋め込まれた状態で設置されています。

もともと境界杭があって、そのあとの塀、なのでしょうが、諸事情あってのこの状態なのは想像がつくものの、建築屋の性なのか、杭上端と塀のあいだにできた空間に汚れやゴミが溜まるだろうなあと、前を通るたびに余計なお世話が頭に浮かびます。

といった具合に、境界標の設置者もいろいろで、さらにネットで調べてみると、各省庁やNTT、私鉄、さらには一般企業に至るまで、世の中にはさまざまな「名前の」境界標があるようです。

で、金属プレートの桐紋は「誰」を示すのかといえば、それは日本国政府、ではなくて、国家資格である「土地家屋調査士さんの業務である」ことをあらわしているのだそうで、プレートの紋章をよく見ると、桐紋の中央には、測量の「測」の文字があしらわれていました(調査士会の方に教えてもらいました)。