資料は、
・弊社の概要を載せたパンフレットと
・オープンシステムを解説した冊子をセットにしたもので、
解説冊子は、オープンシステム(分離発注)での家づくりが実際にどのようなもなのか、ストーリー漫画仕立てで読み進んでゆけるかたちになっています。
発行は、㈱イエヒトさん、制作は古事記を原典とした漫画「女神十神」で注目を浴びている、ラ・コミックさんです。
資料は、
・弊社の概要を載せたパンフレットと
・オープンシステムを解説した冊子をセットにしたもので、
解説冊子は、オープンシステム(分離発注)での家づくりが実際にどのようなもなのか、ストーリー漫画仕立てで読み進んでゆけるかたちになっています。
発行は、㈱イエヒトさん、制作は古事記を原典とした漫画「女神十神」で注目を浴びている、ラ・コミックさんです。
これは1966年から続いた住宅建設5カ年計画を廃止して、フロー消費型から長期にわたって使用可能な質の高い住宅ストックを形成するよう、住宅政策の転換をおこなうものでした。
ただその特徴は、いまだメリットの部分しか捉えられずに、なんだか片手落ちな感じでもあります。
前回のブログで戦前からの家づくりの歴史を振り返り、それを下敷きにあらためて考えました。そうすると、分離発注についてのデメリットが見えました。
今回はそのことについて書きます。
私に見えた、分離発注に潜在するデメリットとは、「そのメリットが従来型、一括請負のデメリットを解消するものでしかない」ことでした。わかりにくくてすみません。まわりくどいかもしれませんが、少しおつきあいください。
現実に必要な粗利益が一般の工務店さんで25%、ハウスメーカーさんではそれ以上であることはいまやインターネット経由で簡単に知ることができます。が、見積書の諸経費は10%のままである価格の二重構造が、住生活基本法で定めた「質の高い住宅ストック形成」を望むクライアントさんの不信を招くケースが出ています。つまり「不透明な価格の根拠がわからない。納得いかない。」
その「わかりにくさ」を解消すべく、二重だった外側の殻を剥ぎ取りシステムを軽量化したのが分離発注方式です、というのがこれまで挙げてきたメリットの、アナザーサイドの話です。
しかし、それらも未来永劫メリットであり続けることは決してない。戦前から戦後の動きをみるように、社会背景の変化と制度疲労(さらにいえば官僚化と腐敗)は、この後を見越して、勘定にいれておくべきでしょう。
今あるものをよりよくしたいという思いが等しく流れるなかで、それぞれの区間を任されたその時々の最善が入れ替わりながら一本に繋がっている。およそ70年の歴史を振り返ったほどですが、住宅業界そして家づくりについて、いま私が持つイメージはそんなふうです。
分離発注に「分離発注」という名前がつけられる前から、この手法を国内ではじめて本格的に実践し、全国で分離発注方式を実践している設計事務所をサポート業務をおこなう会社です。補償制度や分離発注専用のフラット35など、老舗ながらのサービスを揃えていらっしゃいます。
ホームページも充実していて、システムについての説明や、(ないにこしたことはありませんが)工事中または引渡し後の建物の不具合や専門工事業者・設計事務所の倒産などにも対応した補償制度についての説明が掲載されているQ&A、全国各地の完成事例など、これまでに寄せられたさまざまな問いに対応した構成・内容になっています。よろしければ、そちらもいちど御覧になってください。
「分離発注って何だろう?」はこれで終わりです。最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
当時の家づくりは建築、ではなく普請(ふしん)と呼ばれていました。谷崎潤一郎さんの「陰影礼賛」や山田芳裕さんの「へうげもの」で目にしたくらいでよく知らなかったのですがこの言葉は、本来は住宅建築にかぎらず、公共社会基盤を地域住民でつくり維持していく事を指すのだそうです。
建築主さんは「旦那」と呼ばれ、出来高報酬制で職方を雇って普請に臨み、現場の采配は棟梁にまかせるスタイルで、まさに旦那、一大事業主な感じです。当時の住宅着工件数は資料をさがしたけれど残念ながら見つからず、直近の1946(昭和21)年で約30万戸でした。建築確認制度はまだなく、市街地建築物法にもとづく警察からの許可制だったようです。
どうやらこのあたりで戦前の普請的な手法ではない、つまり「旦那」として工事に臨まずに注文住宅を建てたいという新しい顧客層の要望を満たすためのパッケージとして、一括請負という仕組みが産み出されたようです。
棟梁をお抱えにしなくてもよい、総額が明示されて公庫融資が可能であり、ひとつの窓口にお金を支払えば家が完成する。いまではそれがあたりまえとも思える仕組みができたのは、戦後まもなくのことだったようです。
戦後復興と都市への人口集中の無尽蔵といえるほどの住宅需要が背景にあって、生産性を向上させ規模を拡大して経済活動のなかに取り込まれて、基幹産業として成長してゆくために必要な速度をここで得なければならなかった、といった見かたもできるのでしょうか。
高度成長のなか、年間の住宅着工件数はそれから右肩上がりの増加を続けて、すべての都道府県において住宅数が世帯数を上回った23年後の1973(昭和48)年、190万戸に達したのをピークに、以降はゆるやかに減少してゆきます。そして、そこからさらに40年後の今年、1月末に報道された前年の統計は88万戸でした。
まずは、
住宅一般における「業界内でよく目や耳にする、建築主さんが困っていらっしゃること」を時系列でとりあげて、それが分離発注特有のものなのかを検証する、といった二段構えでのぞみます。
ではまず「困ったこと」から。
①基本設計
②実施設計
・実施図ができあがらない
・建築として成り立たない(基本設計時の見込みが甘い)
・そもそも実施図がない(!)
・実施図の内容が薄い
・要望があるのに詳細な聞き取りをおこなってくれない
・質問に対してクリアーな回答や提案をだしてもらえない
(特に水まわりの収納関係について、初期設定が甘い)
③積算・見積
・予算内にまとまらない
・予定の時期に着工できない
・修正案に共感できない
④着工、⑤竣工・引渡し
・調査不足により法令の制限にふれて着工できない
・打ち合わせと現場での内容が違う
・変更・修正の打ち合わせをしても現場に反映されない
・希望日に引き渡してもらえない
けれどこれらはそのスキルに起因するものばかりで、分離発注特有のデメリットとはちょっと言いにくいです。強いてあげれば前回のブログまでさかのぼって、「合計30回程にのぼる、各工事金額の支払い(銀行振り込み)をクライアントさんにやっていただくこと」がデメリットに該当しそうですが、それ以外は存在しないのか?
確証はないのですが何かが抜け落ちているような気がします。全体を見てメリットとの釣り合いがこれではどう考えても取れない。不自然です。どこかに隠れた何かを見落としているのではないか?あるいは考え方が硬直して、目の前を歪めてみているのか?うーん。
しかし、ということは、これまでの考え方をもう少し外に拡げなければ答えが導けないということでもあるわけで、新しい発見の予感に、妙にワクワクしてる自分もいます。でもそれは何だろう?
ちょっと頭をひやして次回、さらに掘り下げてみます。
追記:
工事金額の銀行振り込みや詳細な設計打ち合わせなどを振り返って「レトルトと比較した場合のキャンプのカレー作りの手間みたいなもので、手をかけたぶんだけ楽しかった」とOB施主様よりコメントをいただきましたので記します。
①建築主
②設計者
③工事管理者
④施工者
それぞれの視点からどう映るのか以下、書き出します。
(①④はこれまでのヒアリングが基です)
①建築主(クライアントさん)
・分離して発注したぶん、工事費の支払い回数が増えて面倒だ。
・常に窓口として対応してくれるのが建築の実務者で安心感がある。
・申請や設計施工 全般に関わってくれるので質問に対するレスポンスが早く適確だった。
・打ち合わせをかなり密におこなったが、最低限あのくらいは必要だったとも思う。
・実際の施工者に直接支払うので、支払っている実感が強い。
・トータルの建築コストは、結局安くついた。
②設計監理者( 渡辺 )
・契約で設計監理業務の費用が定められているので、落ち着いて業務にあたれる。
・十分な打ち合わせをおこない設計・仕様決定しないと積算と見積ができないが、決定した時点の精度が高いぶん後工程はスムーズで、結果的には最短ルートであった。
・現場管理者を兼ねるので、情報伝達など業務の効率と精度がきわめて高い。
③現場管理者( 渡辺 )
・契約で現場管理(マネジメント)業務の費用が定められているので、専門工事業者からの見積がそのまま工事原価になる(見積に経費を上乗せする必要がない)。
・実施設計図書と分割請負契約により、工事仕様と金額が事前に決まっている。
・設計監理者を兼ねるので、情報伝達など業務の効率と精度がきわめて高い。
・これらにより、現場のマネジメントに集中できる
④施工者(各専門工事業者)
・建築主からの直接現金払いなので、手形不渡りの心配がない。
・建築主との直接契約時には、工事の仕様と金額が事前に決まっている
・設計者と現場管理者が共通なので、質疑応答のレスポンスが速く「手待ち・やり直し」がきわめて発生しにくい(設計者の質により結果に差が出る、とも言えますが・・・)
・これらにより、施工そのものに集中できる
書き出してみると、けっこういろいろありますね。特徴ってなんでしょう?
何度も読み返してみたのですが、これまでにいろいろな建築業務に関わらせていただいた事柄をおもいだしながら考えてみると、ある特徴が浮かび上がってきました。
ひとつは設計の費用、現場管理の費用、施工の費用が明確に分けられ(分離して発注され)ているので、それぞれの責任の所在が明確であり、あわせて個々の仕様が決まらないと請負契約(着工)できない仕組みと、
もうひとつは建物の意匠、仕様・数量にもっとも詳しいけれど施工にはかかわらない設計者と、現場で不明な点はそのつど設計者に質疑をあげなければ前へ進めない現場管理者が同一人物であるので、クライアントさんと職人さんたちに対しての情報伝達のロス・ミスが少なくレスポンスも早いこと、
このふたつによる産物です。そして察しの通り、このことは品質とコストにおおきな影響を与えます。
誤解のないように申し添えますが、これらはまちがいなく特徴ですが、分離発注でなければ成し得ないもの、分離発注が「絶対条件」ではありません。表層以外をレディメイドで統一するハウスメーカーさんや原価公開の工務店さんなど、それぞれが得意分野でいろいろな方向性を探っている、というのが現状です。
けれどよく言われますよね、上手い話には裏があると。
分離発注にはデメリットはないのでしょうか?
次回、分離発注に潜在する(かもしれない)デメリットについて検証します。