宮崎駿さん

スタジオジブリ、宮崎駿さんの引退記者会見を遅ればせながら昨日みました。

これまではジブリ作品といえば、

「打ち合わせの際、お子さんに観てもらうもの」

といったくらいの距離感だったのですが、先日観に行った「風立ちぬ」にすっかり打ちのめされてしまい、そこから宮崎駿さんっていったいどんなひとなんだろうと、雑誌とNHK「プロフェッショナル」に引き続いてノーカットの2時間弱でした。映画同様、終了まであっという間でした。

ときおりユーモアを交えながら質問に答えられる様子を高僧の念仏を聴く馬のごとく、けれど馬なりには精一杯目と耳を傾けていたのですが、そのなかで発せられる言葉の、身を削ったフィジカルな重みには、そこからの重力にどんどん引き寄せられてゆくようでした。

ご自身の手描きが前提である、これまでの制作方法を貫かれたが故の、体力的にそれがもう叶わない長編作品からの引退なのだそうです。残念です。

とはいえ、

「映画にメッセージは込められない。なんだかよくわからないけどこっちだろうと思って進みながら、その意味は意識の上では追い切れないし、わかってしまうレベルでは、ロクなものにはならない」

など、まだまだ最前線でつくられる気配満載のコメントもされていたりだったので、数年後に

「なんだかしらないうちに話がふくらんで、短編だけど1時間40分の作品です。」

みたいな発表があるのを気長に、楽しみに待とうと思います。
映画、もう一回観に行こうかな・・・

季節の変わり目

境港は雨降りからはじまった一週間でした。

鉛色の空を見上げると、あの猛暑がなんだか遠い昔の出来事みたいで、雨脚が強まって気温が下がってもうこのまま冬になるんじゃないかと覚悟していたら、週後半の今朝、見上げた空は秋の青空でした。例によって暦をみると明日9月7日が白露、昔のひとはスゴイですね。

真夏の薄い水色とは違った、抜けるような青空のこの時期は漆喰の白がよく映えて美しいのですが、同時に台風の季節でもあります。

吹きつける強い風は、ここ数日の竜巻のニュースのように場合によっては建物を剥がして吹き飛ばすほどの力を持っています。一般的な規模の木造住宅の場合、その多くは地震よりも暴風に対しての検討結果によってその構造強度が決まるほどで、具体的には屋根を含めた外壁面の形状と面積は、プランニングにおいての重要な要素です。

青い空を見上げると、これからしばらく過ごしやすい季節のはじまりを予感させるかのようです。ビールも「秋味」が出揃って、サンマもそろそろですね。

よい季節のはじまりの予感に勢い余って、テニスの大会に久しぶりにエントリーしてしまいました。出るからにはもちろん、怪我なく翌日を迎えられるようがんばってきます(^^)

消費税の季節

判断時期といわれる9月末~10月初旬を前にして、ここのところ新聞やテレビニュースにもよく取り上げられるようになりましたが、来年春以降の消費税増税、いったいどうなるのでしょうか?報道によると、いまのところ「増税、先延ばし、どちらもありそう」です。

もうどうせならいっそのこと、決定前に福祉目的 ToTo でもつくってその第一弾を

「今回の増税決定の有無とその内容についての5択」

にでもしてくれたほうがかえって財源確保になるんじゃないのかといった冗談くらいしか思い浮かばないほどに、バブルはいらないけれど、景気回復の実感は「うーん」といった感じです。

写真は先日おこなわれた国交省主催の「住宅関連税制とすまい給付金」についての説明会でいただいたパンフレットです。説明会ではこれまで報道されてきた、

・9月30日まで契約の経過措置
・所得税、住民税控除

に加えて、

・一戸あたり最大30(50)万円の現金給付

についての説明がおこなわれました。

給付金の経緯について、駆け込み需要の混乱による品質の低下を避けるために現金給付での更なる負担軽減の措置をとることになった、とのことで、現在計画中の方、そして我々つくり手にすればたいへんありがたい施策ではあるのですが、しかしこのタイミングで増税して景気が好転して税収はほんとうに増えるのだろうかなどと、余計な心配もちょっとだけ頭をよぎりました。

司会の方、講師の方ともに「内容は6月25日の与党合意に基づくもので、最終的にはまだどうなるかわかりませんよー」としきりにおっしゃっていたところをみると、最終の判断は、まだどうなるのかわからないふうでした。さていったいどうなるのでしょうか、うーん。

残暑お見舞い申し上げます。

お盆を過ぎて、朝夕にいくらか秋の成分も混ざってきましたが、今日も蒸し暑いですね。

およそ10年前に設計と工事マネジメントをおこなわせていただいたお宅に先日別件で伺った折、そろそろ10年目なのでと、点検を兼ねて久しぶりに床下に潜りました。

ひととおり検査して配管と構造材の劣化も見当たらずまずはひと安心、写真で見るとヒノキがつやのあるいい色になっているのがよくわかります(潜っているときには気づきませんでした)。

地中の温度は一年を通じて安定しているといいますが、床下のなかもひんやりと涼しくて、野菜などの貯蔵庫に使われることにもあらためての納得でした。

「私家版 家づくりガイド」その10(コストパフォーマンス)

コストパフォーマンスを「家づくりの費用対効果」と意訳して、

・コスト(費用=支払うもの)と
・パフォーマンス(効果=仕上がり)について、

拾い出して分類してみました。

(コスト)
・時間
・お金
・アイディア

(パフォーマンス)
・気持ちのよさ
・安心感
・使いやすさ
・完成までの過程の充実度

と、いったところでしょうか。

費用<効果

と感じたら、その家の「コストパフォーマンスは高い」と言われ、

効果<費用

ならば、「コストパフォーマンスは低い」と評価されます。

このように整理すると見える、住宅のコストとパフォーマンスには、2つの大きな特徴があります。

まずひとつめ、
コストは必ずパフォーマンスより先に発生します。

家づくりではコスト(時間、お金、アイディア・・・)は常に先払いです。既製服のように試着はできませんし、昼定食のように、いろいろ試してみた後でお気に入りを見つけることも原則叶いません。

ふたつめは、
パフォーマンス(仕上がり)は、実際に出来上がってみないと実感を伴いません。

図面や模型だけでイメージしきれるものではないですが、かといってそのために実際に家三軒建てるわけにもいかないですし・・・。

けれども、実感そのものにはたどり着けないけれど、限りなく近づく方法はあります。それは何かというと、完成に先んじて「完成した様子を想像することを繰り返すこと」です。

もうすこし具体的に言えば、図面や模型、場合によっては現寸見本を用いて複眼的な検討を繰り返せば繰り返すほど、その「想像」は完成時の実感に近づいてゆきます。その繰り返しを納得ゆくまで続けると、肉薄に至ります。

その肉薄は、舞台前稽古の充実と上演内容の関係と同じように、現場のパフォーマンスを押し上げて、そして建設費用を押し下げます。練習は嘘をつきません。

建築関係のみに限らず、ここのところ巷に流れる口当たりのよい情報や、現状を都合よく受け入れてくれそうな仕組みを目にしたり耳にしたりすると、それらの行間からはこんな言葉が漏れ聞こえてきます。

「オマエはものを考えなくてよい、つくらなくてもよい、ただカネだけ払えばよい。」

最近特にそんな感じです。便利な手軽さの先にあるものと長いスパンの信頼との結びつきが、正直なところ私にはイメージできません。

家づくりにおいて、完成してから50年先を「想像」して、そこだけの最適解を考え工夫することは、その計画にかかわる当事者にしか実感できないもので、その人、人たちにしか感じることができない事柄には、たぶん近道はありません。

              *    *

長きにわたり書いた「私家版家づくりガイド」は、これにて終了です。快適な家づくりの実現のための「魔法の杖」がもし存在するのであれば、それは先人からの知恵のような「案外普通のことがら」の積み重ねと組み合わせなのだろうとの考えは、ひととおり書き終えて更に強くなりました。

以上、参考となれば幸いに存じます。最後までお読みくださってありがとうございました。