GoTo 粟島 (あわしま) 神社

「粟島神社」は、鳥取県米子市彦名町にある神社で、少彦名命(すくなひこなのみこと)が祀られています。そして、先日着工した 「彦名の家」 の、氏神様でもあります。

「彦名の家」では、現地での地鎮祭はおこなわず、クライアント様が粟島神社さんに出向かれたのですが、それに倣って私も、着工前のご挨拶に伺いました。

神社は、境港と米子を繋ぐ幹線道路のすぐ近くにあり、江戸時代の干拓工事によって陸続きになるまでは中海に浮かぶ「島」であった、というのは知っていたのですが、これまでずっと前を通り過ぎるばかりで、実際にお参りするのは今回が初めてでした。

社殿は、写真正面に見える鳥居を潜り、そこから高低差38メートル、階段187段を登りきった先にあります。

が、これがまあ、なかなかの高さと段数で、

1回目の休憩、そして、

2回目の休憩をはさんで、

やっとのことで「頂上」までたどり着き、着工前のご挨拶と工事の安全を祈念してきました。

この階段187段、運動不足の中年男にはかなりの苦行でしたが、若者には格好のトレーニングコースでもあるようです。

後日クライアント様に、息も絶え絶えになんとか叶えた参拝についてご報告した際、同じく彦名町にある、米子高専の運動部の皆さんには「ご用達」であることを、バドミントン部OBであるご主人に、当時を振り返りながら教えていただきました。

クライアント様経由でお預かりした二品、鎮め物は掘削の際に建物中央に、お札は敷地全体を見渡せる位置にそれぞれ納められて、現場を見守っています。

竣工 (東津田の家)

東津田の家 は、先日竣工しました。

今回は、既存建物の解体後に寸法と仕様を確定しなければならない工程を含んだ工事進行となり、現地・原寸に基づいた設計の難しさと面白さについて、あらためて学ぶことの多かった数カ月でした。また、資材搬入・搬出のルート、駐車スペース確保などについて、近隣の皆様には多大なご協力をいただきました。本当にありがとうございました。

そして、(今回も^^)工事期間中の現場の皆さんの、「ものづくりに対するスピリットとスキル」に、大いに助けられ、支えられました(ありがとうございました)。そのスピリットとスキルを存分に発揮してもらえるような次の計画とともに、来るべき再会を楽しみにしています。

さらに、建築基準法の申請と運用について、ご指示ご助言をくださった島根県建築住宅センターのT様、ほぼ毎月おこなわれる各業者さんへの支払いに関してご尽力いただいた、JAくにびきのY様など、本計画に関わってくださった全ての「チーム東津田の家」の皆様に、この場をお借りしてあらためて御礼申し上げます。

クライアント様、これより長いおつきあいがはじまります。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

その他の写真は、こちら からご覧ください。

続 史上最大の大黒柱

今年初めに地盤改良工事(表層改良)の様子をご紹介した「廻り土間の家」は、建築工事を終え、外構工事の準備に入っています。

今回は、昨年ブログでご紹介した 欅(ケヤキ)の大黒柱 が、建物のどの部分に「納まった」のか、ご紹介します。

大黒柱は上の写真のように、3枚の板に製材されました。この3枚を、建物内のどこに用いるのか、「現物の現場あわせ」をおこなって最終決定とするために、製材所から工事現場へ持ち込んでもらいました。

板は、表面に大きな割れなども見当たらず、柱断面1尺分をほぼ、「幅」として使うことができ、これならばカウンター(天板)として使えそうです。

木工事が終盤戦にさしかかった5月末の日曜日、現場にて、クライアント様、林原棟梁を交えての「現物あわせ」の打ち合わせがおこなわれ、協議の結果、このうちの1枚を電話台の天板に、2枚を玄関収納の天板と側板に用いることになりました。上の写真は打ち合わせの様子を写したものですが、無垢材の特性と特性に沿った加工方法について語る林原棟梁は、(いつも)楽しそうです^^

その後、工程は進んで木工事が完了し、内装仕上げと器具付け、そして竣工前クリーニングを経て、

ホールでは、電話台の天板に、

玄関では、収納の天板と側板に、その役割を移した大黒柱が、あたらしく生まれ変わった姿をみせてくれました。

写真中央の下(と玄関戸枠の下部)に僅かに見える玄関框は、大黒柱と一緒に保管してあった、5寸角の柱(欅)を再利用したものです。

無垢材の天板は、上乃木の家 の、キッチン対面カウンター(銀杏)と座卓(花梨)以来でしたが、これだけのサイズの欅の大黒柱に触れるのは、おそらく次回がいつになるのか分からないくらいの貴重な経験で、これから天板や框は、床板や窓枠などのその他の木材とともに、時間をかけて少しずつ、味わい深い「よい色」となってゆくのでしょう。

残暑お見舞い申し上げます。

梅雨空を見上げることが長かった7月でしたが、梅雨明けするとやはり暑いですね。皆さんのお住いの地域はいかがですか?

予報によると、しばらく暑さはつづくようです。これから外で作業をされる方も、室内の方も、間もなくお盆休みの皆さんも引き続き頑張られる方々も、適度な休息とこまめな水分補給の合わせ技で、くれぐれもどうぞ、ご自愛ください。

床下調査と防蟻処理 (メイキングオブ 「広い縁側の家」 )

今回は、昨年秋に竣工・お引き渡しとなった「広い縁側の家」の、床下調査と防蟻処理工事について、ご紹介します。

既存住宅の改修計画において、まず最初にしなければならないことは、「その建物の劣化度、傷み具合がどの程度なのか」を調べることです。

そうして調べた傷み具合をみながら、「改修計画を進めても問題ないのか」どうかを判断するのですが、その判断への重要な資料となるのが、床下の現況調査です。

調査は一昨年の秋、クライアント様、調査員さん、不動産業者さんと私の4名が現地集合して、おこないました。

和室の畳をめくり、座板を外して設けた進入口から、ヘッドランプとツナギと手袋と長靴で完全武装した、調査員(S社Mさん)さんが、床下へ潜入します。

潜入からおよそ20分後、ひととおりの調査を終えてMさんが戻ってきました。「撮れたて」の床下写真をみせてもらいながらのレクチャーによると、基礎立上りの一部に蟻道(シロアリ自作の、地中から木材をつなぐ通り道)の跡があったようですが、現在、シロアリは生息していない、とのことでした。

トイレと浴室の床下については構造上進入できず、解体後でなければ確認できなかったものの、それ以外の箇所については蟻害や腐食などは見つからず、仮に、トイレと浴室の構造材の全てを交換をすることになったとしても、その範囲に留まるならば想定内です。事前に確認していた小屋裏の状況とあわせて、これならば、本格的に改修計画を進めても大丈夫、問題ありません。

このような「ドキドキからホッとひと安心」を経て、耐震診断、基本設計、実施設計、積算見積と、耐震助成の交付決定までの諸申請を経たのちに着工した現場では、床構造が整ったところで「建物にシロアリを寄せ付けなくする工事」である、防蟻処理工事がはじまりました。

防蟻処理は、ホウ酸を用いた薬剤散布を選択しました。自然素材で人体への悪影響が無いことに加え、薬剤の効果、将来的な再検査と補償の費用とをあわせた時間当たりのコストを物差しにして比較検討すると、何種類かの選択肢のうちで、ホウ酸処理が最適、との答えにたどり着きました。

薬剤散布は、土台から1mまでの全ての木部、玄関、トイレと浴室と洗濯脱衣室とキッチンなどの水回りについては、土台から小屋梁までの全ての木部に対しておこなわれました。

上の写真は、洋室西側壁面の処理後の様子です。薬剤処理(=濡れ色)の様子は、土台や柱などよりも、外壁下地のパーティクルボード(柱の奥の焦げ茶色)のほうが、比較的わかりやすいかもしれません。

こちらは脱衣洗濯室です。先述のように、玄関および水回りへの薬剤は、小屋梁(土台から約2.7m上部)まで、散布されています。

以下は「恥ずかしながら・・」の余談です。

今回の工事範囲を、一般的な薬剤処理の「建物外周部の、地盤面から高さ1mまで」であると思い込んでいた私は、ここなら大丈夫だろうと、建物内側の一角と外周部の地盤面1m以上の位置に、工程管理用のホワイトボードなどを避けて置いていたのですが、先述の通りの絨毯爆撃(建物構造にとってはより良いことなのですが)によって、丁寧に養生してもらった隙間から僅かに薬剤が付着してしまい、一部分が「がさがさ」※になってしまいました(^^;

その後の現場の様子(ブログ)については、こちら からご覧ください。

※その後の水拭きで元通りになって、無事、現場復帰^^しました。